負の連鎖、日本企業を直撃 株価急落、含み益も大幅減

「いつまで米国に振り回されるのか」。米証券大手リーマン・ブラザーズの破綻(はたん)に続き、今度は米金融安定化法案の否決という「想定外の事態」(大手証券幹部)に翻弄(ほんろう)された30日の東京株式市場。暴落を示す株価ボードに肩を落とす市場関係者からは、米国への恨み節と日本経済の先行きへの不安が噴出した。

 ≪3月末比10%下落≫

 史上最大の下げを記録した米株式市場の動揺は東京にも飛び火し、朝から全業種で投げ売り状態となった。日経平均株価の下げ幅は30分後に582円78銭まで拡大し、1万1160円83銭と取引時間中としては、約3年4カ月ぶりの安値をつけた。東京に次いで取引が始まった香港ハンセンや韓国などアジア株式相場も総崩れに。世界同時株安のムードが色濃くなったところで、日経平均は結局、483円75銭安の1万1259円86銭と年初来安値を更新して取引を終えた。

 9月中間期末にあたる同日の終値は、3月末比で1265円68銭(10.1%)下落。第一生命経済研究所の熊野英生主席エコノミストの試算によると、三菱UFJフィナンシャル・グループなど大手銀行6グループの含み益は、今年3月末の3.9兆円から、9月末で2.8兆円まで減少した。米国のサブプライムローン問題が表面化する直前の昨年6月には9.9兆円もあったことを考えれば、「(経営への)影響は小さくない」(熊野氏)。大手生命保険も、日本生命の含み益が3月末から約8000億円減の約3兆4000億円となるなど軒並み減少し、「米金融市場の混乱は予想以上」(日本生命)とショックを隠せない。

 市場では米金融安定化法案の行方を危ぶむ声に加え、金融危機再燃による日本の実体経済に与える悪影響への不安が噴出。「法案可決のために修正が加えられるほど対策の実効性は限定的なものになる」(上野泰也・みずほ証券チーフマーケットエコノミスト)との見方が多い。

 そうなれば「米金融市場で再度の信用不安の高まり→金融機関の貸し渋り→倒産の続出→失業者の続出、という負の連鎖が起きる」(証券大手)可能性が高まる。日本企業にとって最大の輸出先である米国の景気低迷がさらに深まれば、企業業績が悪化し、日本経済の景気後退局面は長期化が避けられない。

 ≪米の消費意欲衰える≫

 法案否決を受けて産業界では、米景気の先行きに対して一層、危機感を強めている。もともと米国の景気低迷で日本の対米輸出はふるわず、8月の貿易収支は特殊要因のある1月を除くと約26年ぶりの赤字に陥ったが、「米国の消費低下が心配。世界経済への警戒水準を高める必要がある」(中鉢(ちゅうばち)良治ソニー社長)、「米消費者の購買意欲はさらに衰えるのではないか」(自動車メーカー)など、輸出関連企業には収益減少への不安が募っている。

 世界同時株安を受けて「企業業績の下方修正懸念が強まり、来年半ばには回復するとの見通しが、それ以降にずれ込みそう」(高橋和宏・大和証券SMBCグローバル・プロダクト企画部部長)と、実体経済への深刻な影響を懸念する声は急速に高まっている。

 一部には「アジアや欧州向け輸出は堅調で、修正法案が可決されれば短期的な混乱で終わる可能性が高い」(馬渕治好・日興コーディアル証券国際市場分析部長)との見方もある。ただ、米景気の悪化は日本と同様に対米輸出の依存度が高い中国などアジア各国にも打撃だ。

 視界不良の米金融危機は、外的ショックに脆弱(ぜいじゃく)な日本経済のもろさを改めて浮き彫りにしつつある。


園芸 くちなしの育て方


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